

突然ですが「○っ○り」の形をした日本語を、「○っ○り言葉」と表記してみます。
読み方はわからないけれど。。
そんな「○っ○り言葉」を
当サイトでは
東京育ちの一市民の2022年頃の日本語感にて
独断と偏見のもと、主観的に解説をしています。
「○っ○り」という形式をとっている日本語表現は
「ゆっくり」「あっさり」「さっぱり」「すっきり」「たっぷり」「しっとり」
のような動作や状態をあらわす副詞や形容詞的なものが代表的です。
「つっぱり」「てっちり」などのような名詞
「びっくり」のような動詞的なものもわずかにあります。
『擬音語・擬態語辞典』および『擬音語・擬態語4500 日本語オノマトペ辞典』
に収録されている「○っ○り」言葉は約320語あります。
そのうちのおよそ150語は、古語の表現または方言と思われるものです。
当サイトでは現代人にも通じるであろう「○っ○り」言葉に限定して
辞書に載っていないものも合わせて170語 掲載しています。
日本語は比較的に多くのオノマトぺをもつ言語だそうです。
(一説には1,200〜4,500語)
オノマトペとは擬音語・擬態語の総称として使われているのが一般的です。
キラキラ、わんわん、ガタンゴトン、じろじろ etc.
とてもなじみ深い表現ですね。
「ぎっしり」「ぐっすり」といった「○っ○り」の言葉もオノマトペですね。
しかし掲載した170の「○っ○り」言葉のすべてがオノマトペというわけでもなく
国語辞典やオノマトペ辞典を読んでも理解できない「○っ○り」言葉はあると思います。
どの言葉がオノマトペなのか、名詞・動詞・副詞・形容詞なのかを考えることはさほど有用ではありません。
とりあえず、日本語会話のなかで、オノマトペや「○っ○り」言葉なくして
日本語で他者との円滑なコミュニケーションは取りにくいと気づく方が大切です。
日本語が母語である日本語話者(以下、便宜的に「日本人」と表記します)であれば
少し考えただけでも「○っ○り」言葉をふだんから多用していることに気づくと思います。
1日のなかでオノマトペや「○っ○り」言葉を使わずに意思疎通を図ろうとすることは
かなり困難で窮屈な思いをするはずです。
少し長いですが、ちょっと適当に文章を作ってみました。
「この前はじめてマッチングアプリをやってみたの。
プロフィール写真で、がっちり、目はきりりとした人がいて、ぐっさりキューピッドにやられちゃって。
写真を見た瞬間からどきどきがとまらなくて、うっとりしちゃった。
待ち合わせ当日は朝からうきうきして、なるべくきらきら見えそうな洋服を選んだわ。
るんるんしながら待ち合わせ場所に向かうと、そこにいたのは写真とはすっかり別人。
うっかり通りすぎるかと思ったわ。
だって、ぽっちゃりどころかでっぷりした、くりくりした目の人だったんだもん。
私の婚活デビュー戦は、そこであっさり終了。
しぶしぶ、がやがやした飲み屋でさっくり食事はしたけど、トイレに行くふりして、こっそり帰っちゃった。
やっぱり、ちょっぴり悪いなとは思ったけど、
はっきりいって、しっくりこなかったんだもん。
次こそは、きっちり結果をだして、しっかりした人を見つけたいわ」
日本人には(ある意味で)生き生きとした人間のいとなみが目に浮かびますよね。
決してフォーマルな書き言葉ではないかもしれませんが
「○っ○り」言葉やオノマトペが日本人にとって必要不可欠なものだということは
理解してもらえるでしょう。
英語に翻訳しろと言われたら、泣きます。
「あっさり」「さっぱり」「すっきり」や
「ぷっくり」「ぽっこり」は
どう違いを説明したらいいでしょうか?
あっさり塩味のラーメン、さっぱりしたサラダ、すっきりした部屋等々
では、髪の毛を切った翌日、同僚に
「髪を切ったの?すっきりしたね」
「髪を切ったの?さっぱりしたね」
「髪を切ったの?あっさりしたね」
と言われたとします。
「あっさりしたね」と言われたら「俺、はげてきているのかな?」という気がします。
日本人同士の会話で「あっさり」「さっぱり」「すっきり」を使い分けている意識はないと思います。
なぜなら無意識に使い分けることができるからです。
そして、使い分けているということは、それぞれに、あえて言語化してみてはこなかったけれども
「なにか明確な違い・共有されているイメージ」があることを意味しないでしょうか。
もう一つ「がっぽり」を例にしてみましょう。
「がっぽり」は辞書的には「一時的に得たり失うお金が大きいさま」とありますが、
あたなは大金を失う時に「がっぽり」を使うでしょうか?
(がっぽり税金を取られたのような表現はありますが、ほとんどの国民はそれほどの納税体験がないはずです)
また、外国人から「私は日本滞在中にがっぽり稼ぎました」と言われたら
「それはとてもとても頑張ったんですね!」と返答できるでしょうか?
現実的な日本人の感覚による「がっぽり」とは大金を稼ぐことであり、
失うことではないでしょう。
しかもその稼ぎかたは、昔から連綿と続く本業からではなく、
新規事業またはイレギュラーな稼ぎかたのイメージが私にはあります。
なので、宝くじや株取引などによって大金を得ることも、がっぽりには馴染みません。
少なくとも「がっぽり」には一抹のうらやましさはありこそすれ、
稼いでいる相手に対する尊敬の念はないでしょう。
面と向かって「あなたはさぞがっぽり稼いでいるのでしょうね」と言われて
喜ぶ人はいないでしょう。
がっぽりは、彼らが得ている大金が、
お金を得るまでのプロセスや地位に見合っていない気がするときに
「分不相応」なものとして表現されるのだと思います。
よって、外国人が「私は日本滞在中にがっぽり稼ぎました」と言ったとしたら、
そもそも自分に対して使う言葉ではない気もするし、
違法ではないにしろ、非合法な、法の網目をかいくぐって稼いだのかな?
という印象をもちませんか?
「がっぽり」一つとってみても
これだけの複雑なニュアンスを日本人が共有しているということに
改めて驚いてみても良いのではないでしょうか。
オノマトペの中の「擬音語」と呼ばれるものであれば、
例えばガタンゴトン、コケコッコー、ワンワンなど
母国語ではそう表現しないけれど言わんとしていることは伝わるのであろうと思います。
しかし「あっさり」や「こってり」は外国人からしたらどうでしょう。
ラーメン屋に入って「あっさり」だの「こってり」だの言われても??のはずです。
擬音語以外のオノマトペや「○っ○り」言葉は
外国人には理解しがたい表現であろうと推察しています。
日本語が流暢な外国人であっても、どのくらいニュアンスが伝わっているのか。
いや、よくある「日本語は特別で難しい」論はやめましょう。
日本語は難しいから外国人には理解しきれないであろう、という思い込みを日本人はしがちです。
外国人が理解できないとすれば、日本語が難しいから理解されないのではなく、
理解されるようなアプローチをしてこなかったのであろうと考えています。
または
日本語ネイティブにとって、オノマトペはあまりに当たり前すぎる存在ゆえ、
日本人同士でさえその意味を確認し合ったりしないのですから
非ネイティブにはわかりづらいかもといった問題意識すら抱いていないというのが事実だろうと思います。
わたしの知る限り、「○っ○り」言葉に特化して説明した書籍やサイトはないようです。
このサイトは、日本人が感覚的に共有している「○っ○り」言葉の語感を、
外国人のために(日本人には説明が不要なので)伝えようとする一つの試みです。
外国人が「○っ○り」言葉やオノマトペを表現として使いこなすのは
かなりハードルが高いことだと思います。
活用や語源もまちまちで、なおかつフォーマルでない表現も多いからです。
日本語が流暢(ペラペラ)な外国人でも「あえて」オノマトペなどは使わない人もいるそうですが、とても賢明だと思います。
ですから「使いこなせなくても問題はないから、漫画や映像作品、日常会話で頻出の表現を理解してもらう、こと」を目的としています。
辞書にのっている説明も記載しておりますが、辞書は紙面のスペースの関係上、ある語を端的に最低限の言葉で表現する職人芸ですので
このサイトにおいては、辞書には載っていない、しかしながら日本人なら共通に感じるであろうイメージについても書くようにしています。
一方で、辞書に記載されている意味であっても
私自身がこれまで「聞いたことも、使ったこともない」意味については
適宜省略をしています。
国語辞典も参考にしながら、東京生まれ・東京育ちの40代いち男性による意見にすぎませんので、「それは違う」と思ってもスルーしてください。ね。
言葉は日々創造されていくものです。
女性誌に「ぷっくり涙袋」のような表現がありました。
ぷっくり涙袋は、、、画像検索でもしてください。
いまは辞書に収録されていなくても、立派な日本語でしょう。
私の娘は、一緒にぬいぐるみで遊んでいた時に
「このクマさんはね、今ぐーすや寝てるんだよ」と言いました。
「ぐっすり」と「すやすや」の組み合わせによる初耳の造語ですが、
とても気持ちよさそうに眠っている感じが伝わってきます。
そういう、自由な日本語を、少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。